ライター : macaroni 編集部

浅草を代表するカクテル「電気ブラン」とは

電気ブラン(デンキブラン)は、ブランデーをベースにしたカクテルです。「電気」という名が入っているのは、電気の存在が珍しいと言われていた時代に誕生したから。

目新しいものに“電気○○○”という名称をつけ、人々の関心を集めていました。その「電気」にブランデーの「ブラン」を組み合わせたことが、電気ブランという名前の由来と言われています。

ブランデーだけではなく、ほかの材料も加えることから、ストレートにブランデーという名称を使わず、「電気ブラン」という名称でひとつの商標になっています。

電気ブランの発祥は、浅草「神谷バー」

電気ブラン(デンキブラン)という名前は、浅草にある「神谷(かみや)バー」の創業者である神谷傳兵衛(でんべえ)氏がつけました。神谷バーは1882年に生まれた日本初のバー。多くの文豪に愛されてきた東京を代表する名店です。

電気ブランという名前の由来は前述の通りですが、アルコール45度という強い度数と、ビリリと刺激的な舌触りが「電気」のイメージと合いました。

大正時代、浅草六区(ロック)で活動写真を見て、その興奮を胸にデンキブランを飲む……それが庶民の楽しみだったようです。デンキブランが下町の社交場に欠かせなかったのですね。

電気ブランや神谷バーは、小説にも登場している!

なんと、太宰治著「人間失格」、芥川龍之介著「十円札」、三浦哲郎著「忍ぶ川」、萩原朔太郎の詩に、電気ブランや神谷バーの記載があります。このほかにもさまざまな作品に登場することがあり、多くの方に愛されているカクテルということが分かりますね。

電気ブランの種類、味わい

電気ブランは、ブランデー、ジン、ワインキュラソー、薬草が秘伝の分量でブレンドされて作られています。

発祥の「神谷バー」には電気ブランが2種類、「デンキブラン」(300円)と「電氣ブラン オールド」(400円)がラインアップされています。

オーソドックスな「デンキブラン」は、甘味が際立つカクテル。度数を30度まで下げ、華やかな香りが印象的です。一方の「電氣ブラン オールド」はその名の通り復刻版。アルコールが40度とかなりきついので、初めて飲む方は注意しましょう。

電気ブランを気軽にの味わいたいという方には「電氣ブランサワー」(550円)がおすすめ。電氣ブランの甘い風味にレモンの酸味が絶妙に溶け合い、ごくごくと飲み進めることができます。

神谷ビル2階には、洋食が人気の「レストランカミヤ」も

Photo by @katoh_takashi

1階に「神谷バー」が入る神谷ビル、2階には「レストランカミヤ」、3階には「割烹神谷」(2022年12月現在休業中)が入っています。

「レストランカミヤ」ではデンキブランはもちろん、「かにコロッケ」や「ハンバーグステーキ」「プリンアラモード」などの洋食メニューを食べられます。浅草ランチやディナーで行ってみてくださいね。
店舗情報

電気ブランのおいしい飲み方

ビールをチェイサーにストレートで

もともと「神谷バー」の常連客の方が飲んでいた方法が、今ではメジャーになっています。電気ブランは非常に甘いため、口直しにビールを飲む方法です。

どちらもアルコールですので、食事やおつまみを一緒に注文し、食べながら飲むことがおすすめ。
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