ライター : 伊藤 千亜紀

フードアナリスト

食材をサッと「ゆがく」という調理

「ゆがく(湯掻く)」とは、野菜などを短時間だけ熱湯に入れて、食材をしんなりさせる下ごしらえ調理。 ゆがき調理の主な目的は、野菜などの臭みをとること。食材をやわらかく仕上げたり、アク抜きのために火を入れる調理を指します。また、しゃぶしゃぶのように食材をお湯にくぐらせるだけでなく、短時間だけ熱湯にさらすことも「ゆがき」に含まれます。 "しんなりさせる"と言う表現にある通り、この調理は主に野菜に使うもの。肉や魚には別の言葉を使うことが多いです。

あくまでもしんなりさせるだけ

食材をゆがくということは、「中心まで熱を通さないようにゆでる」という言い方もできます。 例えばほうれん草のおひたしを作るときは、先に茎の部分を30秒、葉の部分も浸して1分ほどゆがきます。これくらい短時間だと、葉がくたっとなってしまう心配もなく、適度な食感とやわらかさを楽しめるんですよ。

アク抜きのときもしっかり"ゆがく"

例外として、たけのこなどアクの強い食材を"ゆがく"ときは、長時間しっかりと火を通します。ある程度大きくなったたけのこはエグミを持つようになり、ときには何時間か煮込まなければいけないことも。あまりメジャーな食べ物ではありませんが、ドングリも"ゆがく"という言葉を使います。 この場合もアク抜きが目的なのですが、慣用表現として"ゆがく"という言葉が用いられているようです。

「ゆがく」は西日本の方言?

ネット上では、西日本ではゆでる調理全般を「ゆがく」と表現する、という話もちらほら。 しかし、関西でも「じゃがいもをゆでる」「ほうれん草はゆがく」というのが一般的なようです。もちろん切り方や固さによってあいまいな部分もありますし、言葉の彩で「ゆがく」と言うことがあるは西日本でも同じ。場面に応じて使い分けてみてくださいね。

食材の芯まで火を通す「ゆでる」という調理

ゆがき調理を知ったうえで「ゆでる」という調理を見てみると、食材の芯までしっかり火を通す調理だということがわかります。 ゆで方で食感が変わる食べ物の中でも特にシビアなのが、ゆで卵。手早くゆでればとろとろの半熟卵、10分以上火を通せばハードボイルドと、ゆで加減によってできばえが大きく変わる食べ物です。

しっかりゆで時間も

ゆでるという調理では、5分以上火を通すことが多いと言えます。根菜や固い食べ物では、火が通るまで数十分ゆでることも。 ラーメンの替え玉なら話は別ですが、パスタを"ゆがく"というのはあまり考えられませんよね。うどんの名産地でよく売られている手製乾麺などでは、20分ほどしっかりゆでる乾麺も販売されています。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ