ライター : Raico

製菓衛生師 / スイーツ&フードアナリスト / フードライター

とろみがつかない原因は?

Photo by macaroni

シチューにとろみがつかない原因は、以下の4つが考えられます。


1つ目は、沸騰した状態でルーを加えたため。ルーが溶ける前にでんぷんの糊化が進んで、ダマになって固まります。ルーは火を止めて煮汁に溶かしてから、再度煮込みましょう。

2つ目は、水分が多いため。新玉ねぎ、トマト、白菜、冷凍シーフードなど、水分の多い食材を使うと、全体の水分量が増えてとろみが付かないことがあります。煮込むときに加える水分量を、少なめにしましょう。

3つ目は、加熱時間が足らないため。ルーを入れてからの煮込み時間が少なかったり加熱が弱かったりすると、でんぷんが糊化しにくくなります。しっかり煮込むことが大切です。

4つ目は、でんぷんが分解されたため。味付けではちみつやみそ、しょうゆを使う場合、でんぷんを分解するアミラーゼという酵素が含まれるため、とろみがつかないことがあります。水を加えて煮込むときに一緒に加えて、沸騰してから20分以上煮込むと、防ぐことができますよ。

対処法必要なものポイント
煮込むなし中火で加熱し、沸騰したら弱火で10分以上加熱する
水溶き片栗粉片栗粉鍋は火を止めるか弱火にし、水溶き片栗粉をかき混ぜながらゆっくり加える
小麦粉ペースト小麦粉鍋が沸騰しているところに加え、弱火で5~10分加熱する
ブールマニエ小麦粉・バター少しずつ加えて加熱し、とろみを調整する

とろみをつける方法1「煮込む」

まずはシチューをしっかりと煮込みましょう。中火で加熱し、沸騰したら弱火にして10分以上加熱します。鍋底が焦げ付かないように、おたまでかき混ぜながら煮込んでください。

ルーの小麦粉に含まれるでんぷんは、60~65℃以上になると糊化し、糊化するのも時間がかかります。また水分を蒸発させながら加熱すると、全体の水分量が減り、とろみが付きやすくなりますよ。

とろみをつける方法2「水溶き片栗粉」

Photo by taki

水溶き片栗粉を使う方法は、しっかりとろみをつけたいときにおすすめです。水溶き片栗粉の基本となる片栗粉と水の比率は、1:2。水200ccに対して、片栗粉小さじ2杯で作る水溶き片栗粉を混ぜると、あんかけ程度のとろみがつきます。片栗粉の量を調整することで、とろみの強さは加減できますよ。

あらかじめ片栗粉と水を合わせておき、使用する直前にかき混ぜて加えましょう。シチューの鍋は火を止めるか弱火にし、混ぜながらゆっくりと加えるのがポイントです。

とろみをつける方法3「小麦粉ペースト」

小麦粉を水に溶かす「小麦粉ペースト」で、とろみを付ける方法もあります。小麦粉と水は同量で混ぜ、シチュー10皿分であれば約大さじ2杯の小麦粉を使うのが目安です。小麦粉は薄力粉でも強力粉でもOK。片栗粉よりも、さらっとしたとろみを付けたいときに向いています。

鍋を加熱して沸騰しているところに加え、弱火にして5~10分ほど煮込みましょう。鍋底が焦げ付かないように、混ぜながら煮込んでくださいね。

とろみをつける方法4「ブールマニエ」

Photo by morico

ブールマニエは、フランス料理でとろみをつけるのに使われる方法です。バターと薄力粉を1:1の割合で混ぜたもので、常温に戻したバターに薄力粉を混ぜて作ります。バターは有塩でも無塩でもよく、小麦粉を直接加えるよりもダマになりにくいのがメリットです。

バターと薄力粉各大さじ1杯または20gずつを混ぜた量が、使いやすいですよ。シチューに少しずつ加えて加熱し、とろみを調整しましょう。

シチューにとろみがつかなくてもあわてない!

ルーを加えてきちんと作っているはずなのに、シチューにとろみがつかない……。その原因はいくつか考えられるため、工程を見直してみてください。意外なことが原因になっているかもしれません。

再度煮込んでもとろみが付かない場合は、水溶き片栗粉や小麦粉ペースト、ブールマニエを使えばOK。どの方法も簡単なので、覚えておくと便利ですよ。

原因が分かれば、あわてなくてもOK。うまくシチューにとろみをつけて、おいしくいただきましょう。

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