ライター : 堀田 らいむ

webライター

「シベリア」ってどんなお菓子?

シベリアとは、あんこや羊羹をカステラで挟んだサンドイッチのようなお菓子のこと。ふわふわな生地とあんこ・羊羹のコントラストがたまらない、ノスタルジックなお菓子です。

昔は全国のパン屋さんで作られていましたが、製造に手間がかかるため、しだいに販売するお店が少なくなっていきました。この記事では、謎多き「シベリア」についてご紹介します。

「シベリア」の歴史と名前の由来

シベリアがいつ誕生したのか、詳しいことはわかっていません。横浜市にある1916年(大正5年)創業のパン屋「コテイベーカリー」の店長さんによると、製造が始まったのは明治末期から大正初めのころ。当時は多くのパン屋で売られている身近なお菓子だったそうです。

名前の由来

一度聞くと耳に残る「シベリア」という名前。その由来についてはさまざまな説があります。

もっともメジャーなのは、「雪原を走るシベリア鉄道のように見えるから(カステラを雪原、ようかんをシベリア鉄道に見立てている)」という説。ほかに、「断面の模様がシベリアの凍土に似ているから」「日露戦争時に考案され、シベリアの地で食されたから」という説もあります。

「シベリア」の作り方

シベリアはあんこや羊羹をカステラでサンドしただけのように見えますが、実際は少し異なります。

【作り方】
・1. カステラを焼く
・2. カステラを半分の厚さに切り、片方を型に入れる
・3. 寒天と合わせたあんこを流し込む
・4. 上にもう半分のカステラをのせて、冷蔵庫で冷やして固める

カステラとあんこ・羊羹を別々に作って挟むのではなく、冷やし固めながら作るのが特徴。そのため、カステラとあんこ・羊羹がぴたっと密着しているのです。この製造方法が手間がかかることから、しだいに作るお店が少なくなっていったと言われているんですよ。

ドラマや映画に登場した「シベリア」

ジブリ映画『風立ちぬ』

2013年に公開された宮崎駿監督のジブリ映画『風立ちぬ』で、シベリアが登場しました。映画では主人公が帰宅途中に購入し、同僚と一緒に食べる姿がおいしそうに描かれています。いままでシベリアを見たことがなかった人たちから、「このお菓子は一体なに!? 食べてみたい!」と話題を呼び、再び注目を集める存在に。

モデルと言われるお店「サン・ローザ」(現在は閉店)のシベリアは、当時一日に100個ほど売れ、生産が追いつかなかったこともあるのだそうですよ。

NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』

1964年の東京オリンピックが実現するまでを描いたNHKドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』。本作では、登場人物の心境の変化を描く重要なシーンの小道具としてシベリアが登場します。日本人女性初のオリンピックメダリスト人見絹枝さん(劇中では菅原小春さんが演じる)が大口でシベリアを食べるシーンは、多くの人の心を惹きつけました。
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