ライター : 相羽 舞

管理栄養士

チョコレートの食べすぎで鼻血が出るのはほんと?

チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出る、という話を聞いたことはありませんか?誰もが一度は聞いたことがあるこの噂、実際のところ、根拠はあるのでしょうか?

この記事では、チョコレートを食べすぎると鼻血が出るのかについて調べてみました。チョコレートが体に与えるメリットについても解説しますので、参考にしてみてくださいね。

鼻血が出る仕組み

チョコレートと鼻血の関連性の前に、鼻血はどうして出るのか、体のメカニズムについてご紹介します。

鼻血の原因の多くは、鼻の中の毛細血管が切れることです。鼻の粘膜はやわらかいうえ、鼻の入り口付近に毛細血管が集中しているため、少しの刺激でも傷がつきやすくなっています。

鼻をいじったとき、強く鼻をかんだときなどにも、鼻血が出てしまうことがありますが、こうしたときは慌てず、落ち着いて対処しましょう。鼻にティッシュを詰めることは、取り出すときに傷をふさいでいた部分がはがれ、再び出血しやすくなるので注意が必要です。

鼻血が出たら、座った状態であごを引き、小鼻をつまんで圧迫します。それから5~10分くらい安静にすることで、止血することができますよ。(※1)

チョコレートを食べると鼻血がでるのは医学的根拠がない

チョコレートを食べ過ぎることで鼻血がでると言われてきましたが、実際のところ医学的な根拠はないようです。ではなぜこのように知られているのでしょうか?

これにはいくつかの説があり、ひとつは、チョコレートのように糖分や脂質が多いものを食べ過ぎると、体の中に溜まったエネルギーが行き場を失い、鼻血として出ていくのではないか、と考えられていたようです。また、昔チョコレートは高価な食べ物だったため、子どもたちが食べ過ぎてしまわないよう、たくさん食べると鼻血が出るよ、とある母親が注意したという説も。

好きなものばかりを食べていて栄養バランスが崩れ、体調不良により鼻血が出るといったことは考えられますが、医学的にもチョコレートが直接の原因になるとは言い切れません。(※2,3,4)

血行が良くなることで鼻血がでる可能性はあるが関連性は低い

チョコレートには、血流をよくする「ポリフェノール」や「テオブロミン」が含まれています。そのため、チョコレートをたくさん食べたとき、一時的に毛細血管が刺激されて鼻血が出る、という可能性は否定できません。しかし、この説も医学的な根拠がないため、チョコレートと鼻血の関連性は低いです。

また、カフェインの興奮作用による鼻血という説もありますが、チョコレートのカフェイン量は微量なため、この仮説も可能性は低いと考えられます。(※2)

チョコレートの食べ過ぎには気をつけよう

チョコレートを食べることによって、鼻血が出る可能性は低いことがわかりました。だからといって、食べ過ぎは禁物です。チョコレートは糖質や脂質が多く、高カロリー。チョコレートを食べたからといって肥満になるわけではありませんが、好きなだけ食べて摂取するカロリーが消費するカロリーより多くなれば、肥満につながるおそれがあります。

一日に間食から摂取するカロリーの目安は200kcalとされています。ミルクチョコレートなら、一日にひとくちサイズで7枚(35g)が目安です。食べ過ぎてしまわないよう、あらかじめ量を決めて食べるようにしましょう。(※2,5,6,7)

チョコレートの健康効果もある

食べ過ぎは気をつける必要がありますが、適量であれば、チョコレートには健康に役立つ作用もあります。

チョコレートに含まれているカカオポリフェノールは、ストレスの軽減に役立つとされています。カカオポリフェノールを多く含むダークチョコレートを継続的に摂取すると、ストレス増加で分泌されるホルモンの排泄量が抑えられるという研究結果が出ています。

また、ストレスを受ける前にあらかじめダークチョコレートを摂取しておくと、ストレスを感じにくくなる、という報告も。

さらに、カカオポリフェノールには抗酸化作用があります。過剰になると肌や体にダメージを与える活性酸素のはたらきを抑えてくれますよ。(※8,9)
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