ライター : 堀田 らいむ

webライター

監修者 : 竹内 弘久

杏林大学医学部付属病院 外科医

風邪で味覚がなくなる?

風邪をひいたとき、「おいしい」という味の感覚が急にわからなくなった経験がある人は多いのではないでしょうか?風邪の症状は人によりさまざまですが、嗅覚が低下すると、味覚に影響を及ぼすことが知られています。

味覚が低下すると、せっかくの食事がおいしく味わえなかったり、料理を作る際の味付けに困ったりと、何かと不便ですよね。また、味覚の変化によって食欲がなくなり、栄養不足となる場合もあります。食事からしっかり栄養を摂って風邪を治すためには、味覚が必要だといえるでしょう。(※1,2)

味覚について

甘い・辛い・苦い・酸っぱいなどの味を感じられるのは、味覚が正常にはたらいているためです。食べ物の味を感じると、食欲がわくのはもちろん、腐った食べ物を避けるのにも役立ちます。また、唾液や消化液の分泌にも味覚は関わっており、消化を促進してくれますよ。

風邪によって味覚が低下すると、食欲が低下して健康を損うおそれがあります。「味わう」ことによって、体と心が満足感を得るために、味覚は私たちの日常に欠かせない大切な感覚です。(※1,2,3)

風邪で味覚に異常をきたす原因

味覚自体の低下

「亜鉛」は、舌表面の粘膜にある「味蕾(みらい)細胞」の生産に必須の栄養素。偏った食事によって亜鉛が不足すると、味蕾細胞の新陳代謝が滞り、味を感じにくくなってしまいます。風邪のときの食事は、亜鉛不足にならないよう注意が必要です。

また、加齢とともに味覚が低下し、60~70代から味覚の変化を感じる方が多いといわれています。(※1,4)

嗅覚の低下

風邪が悪化するにつれて味覚が変化した場合、「鼻づまり」によって嗅覚が低下したことが関係しているかもしれません。無関係に思えるかもしれませんが、実は、嗅覚は味覚に深くかかわっているためです。

舌がとらえた味覚とともに、鼻の神経は食品の匂いを識別して、脳へその刺激を伝達します。味覚と嗅覚から得たふたつの情報から、脳が「風味」を認識するというわけです。塩味、甘味、酸味などは嗅覚がなくても認識できますが、複雑な風味を味わうには、嗅覚が欠かせません。(※1,5)

嗅上皮粘膜(きゅうじょうひねんまく)の炎症

ウイルス性の風邪に感染すると、鼻の内側を覆う粘膜である「嗅上皮」が萎縮したり、炎症を起こすことも。嗅上皮には匂いを感知する「嗅覚受容器」があるため、嗅上皮の炎症が嗅覚障害の原因となってしまいます。

前述した通り、嗅覚は風味を感じるのに欠かせない感覚です。嗅上皮の炎症により、食事の風味がわからなくなる場合があります。(※1,5)
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