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連載:写真のプロが考えた! 「いいね」が集まる写真のひみつ

おしゃれなフード写真で人気のインスタグラマーをひとり取り上げ、その写真の魅力と撮影のポイントを考える連載企画。第3回は、どこかヨーロピアンな香り漂うスタイリングで多くのフォロワーを虜にしているangepasseさんを取り上げます。

マネしたくなるフード写真

おうちで食べる“朝ごパン”を撮ったInstagramへの投稿で支持を集めているangepasseことmikiさん。著書『#おうちごパン』(宝島社刊)も好評で、その人気はすでにInstagram利用者の間にとどまらないものとなっています。

2016年6月28日現在でフォロワー数は6万8,700人を超え、もう3年以上になるというInstagramへの投稿写真はすでに900件オーバー。そして、そのすべてがとっても雰囲気のある、まねしたくなるような素敵なものとなっています。 まずはその作品の一部を一緒に見ていきましょう。

彩り豊かな家族の食卓

忙しい旦那さまと息子さんふたりのため、毎朝食事づくりにはげんでいるというmikiさん。その写真には、家族に少しでもおいしいものを食べさせたい、きれいな食卓を見てほしいという気持ちが込もっているように感じられます。

上の写真では、大きめのカッティングボードに切った野菜とフルーツをこんもり乗せて、主食にはほどよい大きさのバケットを選んでいます。これなら時間がなくても多彩な食材を食べられそうですし、何といっても見た目が華やか。まさに、できる奥様がつくる食卓の見本のような写真となっています。
こちらはハートモチーフを上手に使ったかわいらしい作品。

ハート型のふたを持った手とカトラリーが、上下のそれぞれに家族の存在を感じさせますね。見る者に画の外までを意識させるというのはよい写真の条件のひとつですが、とても自然にそれができているように思います。被写体の置き方もバランスがよくて、見ていて心地よい1枚です。
青いクロスが映えるビビッドなこの写真は、mikiさんの作品ではややめずらしい、アイテム数の少ない1枚。クロスに残ったいくつかのシワが、日常を切り取った1枚という印象を強めています。

肩の力が抜けた、時間をかけずに撮った風の作品ですが、実際の撮影はそうではなかったはず。いろいろと試行錯誤し、よりおしゃれに見えるよう工夫していますね。たとえば、カトラリーやグラスを置かないところに大きなシワをつくることで、スペースを上手く消しています。オイルのボトル、スプーンをななめに置いているのもポイント。左下に置いたプレートに視線を誘導しています。

露出の加減もいい感じ。強い陰影で画をハイコントラストにするのはmikiさんお得意の演出ですが、この作品では、それがシワの存在感を強め、画の完成度を高める役にも立っています。

angepasseさんの写真の特徴は

mikiさんの作品のモチーフは、そのほとんどがパンを使った朝ごはん。著書の『#おうちごパン』には、仕事が忙しい旦那さまと家族がそろって食卓を囲めるのが朝食しかないため、パン好きな家族のためにがんばっているというくだりがあります。

つまり、「朝ごはん」「パン食」の2点は、mikiさんの作品に共通する要素と考えてよいでしょう。
作品にはさまざまなカタチでパンが使われていますが、中でもよく見かけるのが、野菜やフルーツ、ゆでたまごなどを彩りきれいに盛り付けたオープンサンド。食材次第でいくらでも見た目を変えられるこのメニューは、mikiさんの写真の中で大きな存在感を示しています。

お皿にちょこんと盛ってみたり、大きめのプレートにサラダやカットフルーツと一緒に並べてみたり、見せ方のバリエーションはさまざま。個人的には上写真のように、大きめのカッティングボードにぎゅうぎゅうに並べるスタイリングにセンスを感じます。

被写体が多くなればなるほど画づくりはむずかしくなるものですが、にぎやかでいてどことなく整っているようにも感じられる、バランスのよい写真に仕上がっていると思いませんか?

画面を縦横それぞれで三分割し、縦と横から引いた線の交点にポイントを置く構図の考え方を三分割法といいますが、お手本といってもいいくらいそれを上手に使いこなしていますね。

光の加減について

mikiさんの写真は、ほとんど照明を使わず、レースのカーテンなどでディフューズされた自然光だけで撮っているように見えます。朝ごはんであるという点と影の出方を考えると、晴れた日の比較的早い時間、朝からお昼くらいまでの時間に撮っているのでは。

作品の大きな特徴といえる自然な明るさとほんのり青みに寄った色合い、陰影の強さなどは、この撮影環境ならではのものでしょうね。もちろん、アプリでレタッチもしているはず。作品の雰囲気をそろえるためには色味や明るさの調整は欠かせません。

とはいえ、あまり多くは手を入れていないでしょう。これはなんとなくですが、mikiさんは撮った写真をいじくりまわすタイプではないのでは。mikiさんの作品のほとんどは1:1の比率で投稿されていますが、これも撮影時からそういう設定で撮っているに違いありません。

食器の選び方・使い方に注目

大小さまざまなカッティングボードやスキレット、プレートなどの食器もmikiさんの写真をおしゃれに見せる重要な要素。それぞれのアイテムについて、考え抜かれたテクニックを駆使しているように感じられます。
たとえばこちらの作品では、スープ、スイーツ風のオープンサンド、パンをしっかりと分けて盛り付けることで、画にまとまりが出ています。中心に色味の強いものを配置したり、似たような色味のものを離しているのも意図してのことでしょう。

この写真についていえば、カッティングボードの周囲に置いたお皿にイチゴをちょこんと乗せるだけにしているのもいいですね。おかげでお皿のユニークなディテールを料理で隠さずにすんでいますし、カッティングボードの上にある料理が主役だとわかりやすくなっています。
こちらの写真ではあえてカッティングボードをななめに置き、全体が見えないようにしていますが、これだけで画がにぎやかになりますね。隣のプレートの高さを出した盛り付けの効果もあって、パーティー会場に置かれた食卓の一部を切り取ったよう。

ちょっと崩したようなバケットの置き方も、よいアクセントとなっています。

お皿のディテールについて

mikiさんの写真には、真ん中ではなくふちに装飾があるプレートが多く登場します。装飾のタイプはさまざまで、そこで統一感を出そうという意識はなさそう。大切なのは、お料理を乗せても装飾がしっかり見えるという点。
こちらの大きめプレートは登場頻度の高いアイテムですが、やはり真ん中はシンプルで、縁に美しい装飾が施されています。白磁なので野菜やフルーツの色がよく映えていますね。

カラフルでにぎやかな画づくり

もうひとつ、mikiさんの写真を見ていて思うのは、色づかいのセンスのよさ。色味の強い食材をとても巧みに使いこなしています。加えて、フルーツや野菜の切り方、盛り付け方にも工夫が感じられますね。
上の写真、グリーン、レッド、ブラウン、イエローなどはっきりとした色の食材が1枚のプレートに盛り込まれています。中間色も含めれば色数はかなりのものですが、ブロックを分けて乗せているので雑な印象はありません。

半月型にカットしたリンゴにも注目。これはmikiさんの作品ではよく見られる切り方で、ふつうに盛っても目を引きますし、オープンサンドなどにはさんでもヴィジュアルがよくなります。
また、食材を輪切りにしてお花のように飾るのもmikiさんらしいスタイリングテクニック。まさに食卓に花が咲いたような、美しい盛り付けですね。

ちなみに、オレンジやキウィなどのフルーツのほか、長くて置き方に悩むオクラなどの野菜も、輪切りにすると見た目がかわいくなりますよ。

angepasseさんをマネるコツ

先であげた特徴をふまえて、mikiさんのような写真を撮るコツを考えてみましょう。

まずは撮影環境から。

撮るのは朝から昼にかけての時間。晴れている日がいいでしょう。窓際にテーブルを設置して、基本的には真上から撮影するようにしてください。窓から入る日差しが強いと感じたら、レースのカーテンを引いたりトレーシングペーパーを窓に貼ったりして外光を弱めること。明るすぎない自然な露出を心がけましょう。

うつわは縁に細工があるものに

料理を乗せる食器についてですが、ぜひカッティングボードやスキレットを使うようにしてください。カッティングボードにスキレットを乗せるなど、組み合わせてもおしゃれな画になります。加えて、それぞれ何種類か用意しておいて、見た目の相性がよいものを把握しておくと、スタイリングに悩む時間を短くできるでしょう。

うつわはディテールのよいものを選んでほしいところですが、真ん中にどれだけおしゃれな装飾があっても意味がありません。料理を乗せても隠れない縁に特徴があるものを選んで使うようにしましょう。

食材の盛り付けにひと工夫

うつわに乗せるお料理はパン食が基本。オープンサンド、パンケーキ、バケットなどを多用すると、mikiさんの料理に雰囲気が近づくはずです。また、フルーツと野菜をたっぷり使うこと。ただし、使えばいいというわけではありません。ぜひ盛りつけに工夫をこらしてみてください。

mikiさんはいろいろなテクニックを駆使していますので、この部分、マネるのは簡単ではありませんが、いくつかコツはあります。

まず、食材は見栄えのよさを意識して切ること。たとえばリンゴは半月切り、オレンジやトマト、キウイなどは輪切りにすると花のように見え、よい彩りとなります。

大きなうつわにいろいろなものを乗せるなら、料理のカテゴリーごとにブロックをつくってしっかり分けて盛りましょう。また、少量でもひとつひとつ高く盛り付けると、ボリュームの作用で贅沢な感じが出ます。

最後に、たくさんの色を入れること。ただし、それは食材についてです。食器、キッチンファブリックにはカラフルなものは使わず、せいぜい2、3色を使ったものに止めてください。そうすることで、にぎやかではあってもトーンは落ち着いている、mikiさんが撮るようなフード写真に近づけることができるでしょう。

まとめ

mikiさんはスマートフォンで撮影することが多いようで、ボケ味などで遠近感を演出したりはせず、全体にしっかりとピントを合わせながら自分らしい写真の世界観をつくりあげています。

ですから、もしmikiさんのような写真を撮りたいなら、ぜひスマートフォンでの撮影にチャレンジしてください。じっくりと時間をかけて被写体と向き合ったなら、特別な機材なんて使わなくても、あなたにだっておしゃれなフード写真が撮れるに違いありません。

▼ 今回ご紹介したangepasseさんの写真をもっと見るならこちら!
※この記事はangepasseさんの承諾を得た上で作成しています。また、画像の引用につきましてもご了承をいただいております。

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