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連載:あなたの知らないバタートーストの世界

近ごろ「超芳醇」のテレビCMをよく目にする山崎製パン。味もしかりですが、とくに食感が全く異なる食パンが揃っていることも特徴的です。ちょうど「春のパンまつり」も開催中のいま、好みの食感を探しながら食べ比べして白いお皿ももらっちゃう!?

ヤマザキの食パンは、食感の違いにご注目!

今年も春が巡ってきました。パン好きのみなさんにとって春といえば?「春のパンまつり」をイメージされる方も多いのではないでしょうか。

この連載では以前、いま一番売れている食パン、PASCOの「超熟シリーズ」の食べ比べについて書きました。今回はヤマザキの食パンをトーストして、バタートースト評論家ならではの視点でリポートします。

山崎製パンとPASCO。私がもつイメージを述べさせていただくなら、PASCOは自社のこだわりの味や製法といった「パンとは何か」を実直に考え貫くタイプ。一方、ヤマザキは振り幅大きく消費者のいろいろな好みをどんどん取り入れる器用タイプ、という感じがします。特に、いろいろな食感が楽しめるラインナップがおもしろいですよ。

今回はバリエーション豊かなヤマザキの食パンを代表する8点をピックアップしました。
▼「超熟」シリーズの食べ比べ記事はこちら

主軸&ベーシックタイプ

①定番の「ロイヤルブレッド」

「ロイヤ~ルブレッド♪」とCMの音楽が頭に浮かぶ、ヤマザキの定番中の定番です。

口に入れた瞬間に味がするというわけでもないけれど、飲みこんだ後にコクと甘さが舌の上に”たたずむ”感じ。この、何かが際立つことのない配合バランスこそが「ロイヤルブレッド」の魅力です。

食感は、買った直後はしっとりしすぎて口の中でクチャつき飲みこみにくいですが、日がたつと口溶けが良くなります。

大量生産の食パンは、スーパーなどに並んだ後、実際に食べられるまでの時間経過も考慮しておいしさを感じさせる工夫がなされていますが、この商品はまさにそれを感じさせます。
トーストにする際は、最初のひと味が強く出るマーガリンなどが合うでしょう。

②ワンランク上の「ロイヤルブレッド ゴールド」

ヤマザキでは、ひとつのブランド内で「ゴールド」と名付けたワンランク上の商品を販売している場合があります。

「ロイヤルブレッド ゴールド」は、普通のロイヤルブレッドよりも香ばしく、甘く良い香りがして、後味のコクや奥行きが強く濃くなります。口どけの良さもうんとアップ。
安っぽい味のマーガリン類を使うと、せっかくのパンの味を台無しにしてしまいます。味を邪魔せず風味を増してくれる無塩バターとの相性が良いでしょう。

③リニューアルしたばかりの「超芳醇」

今年2月1日にリニューアルした、いまイチオシの「超芳醇」。味のタイプはロイヤルブレッドの方向性と同じようで、香りはあまり強くなく、甘みもほんのり感じる程度。これといったクセがありません。

特徴的なのは食感です。あるとき突然粘りがやってくるという、これはなかなかほかの食パンでは感じられないおもしろさです。噛み始めたときはしっとり、そのまま口どけよく溶けていきそうな気配。

ところが途中から、トースト生地が唾液とあいまってか粘りが出はじめ、上あごにまでもくっつきます。ういろうのような水分量の多い食品が好きな方にはピッタリ。
後味があまり感じられないため、おいしい余韻が楽しめるバター、特に無塩バターを塗って食べるのがオススメです。

④キレの良さがきわだつ「特撰 超芳醇」

「超芳醇」のハイグレード版「特撰 超芳醇」。湯種を応用したPASCOの超熟は『超熟製法』で作られているのに対し、こちらは『湯捏製法』という呼び方の技術が用いられています。

発酵の良い香りがします。それも、重い感じではなく軽やか。口どけもロイヤルブレッドなどに比べて格段に良く、口の中で均一に溶けていきます。

もっとも強く感じたこの食パンの特徴は、後味のキレが良いこと。私もいろいろな糖質を比較して後味の違いを研究したことがありますが、その経験からいっても絶妙なバランスで配合されているように感じます。
味の余韻等が強くないため、後々まで味や香りが強く残るバターなどと味わうとバランスが良いです。

食感重視タイプ

⑤とにかくやわらかい「ダブルソフト ゴールド」

ミミまでやわらかい!と一世を風靡した「ダブルソフト」のゴールドタイプです。
ダブルソフトが出たときは今までの食パンとは全く違いすぎて、「これはパンじゃない」と言ったパン専門家の人もいたくらいでした。

その違いとは?
上部に山がふたつ、真ん中で左右きれいに真っぷたつに裂けるこの形も斬新でしたが、なんといっても特徴はやわらかさ!

薄茶色に焼けているのに、ふんわりしっとりやわらかい口当たりで幸せ感いっぱい。いつも食パンの耳を残す人もこの食パンなら耳まで食べられる、というくらいです。

が、しかし。噛んでいると粘りが出て歯や上あごにもくっつく食感。強い独特な味と香り。生地の色の黄色っぽさは、まるで味の濃さが色に出ているかのよう。

好きな人と苦手な人がはっきり分かれるかもしれませんが、このパンが一世を風靡したことは間違いなく、そして追随した各社が既に製造をやめているのに今なお販売されているということは、根強いファンがいるのに間違いありません。
軽くトーストするくらいがサックリふんわり食べられます。普通の食パンよりも2~30秒ほど早く焼けるので、トースト時間設定に要注意。

⑥さらにふんわり、その名も「ふんわり」

「ふんわり」は、先ほどのダブルソフトよりもさらにふんわり、やわらか~~~~~く作られている食パンです。

白いパンは、焼き色が付きにくいようにするための砂糖類の選定や焼き加減も慎重。高温で一気に焼かないのも特徴です。そのため、だいたい共通して強い発酵のにおいが残ります。
それが苦手な方は、"後味がしっかり残る"味の濃い有塩バターがおススメ。
後味に、"鼻に抜ける香り"を楽しむ無塩バターでは太刀打ちできません。
もうひとつ、大切なのがトーストする時の焼き加減です。
こんなにも美しく、耳が耳かどうかの区別すらつかないほどに真っ白な食パンですから、トーストするときも軽めに焼き色をつけるのがベター。
せっかく水分が生地内にしっかり残り、全体がしっとりふんわりしているのに、少しでも焼きすぎてしまうとザクッと重い食感になって台無しです。
ただし、トースト時間が短すぎると口の中で生地がお団子状にまとまり、なかなか溶けていってくれません。

好き嫌いが分かれる食感でしょうけれど、色の白いパンとはそういうものです。
「ふんわり」は、どこまでもやわらかい食パンを追い求める消費者の好みに応えた食パンといえます。

⑦私がもっとも好きな食パン「新食感宣言」

実は!スーパーなどで売られている食パンの中で、私がもっとも好きなのがこの「新食感宣言」です。

私の好みは、
(1)シンプルでバターの味が活きる味のパン。
(2)表面をザクッというくらいに焼いても、中身はしっとりするちょっと厚め。
(3)そして、食感は決して粘らず、
(4)口どけが良いこと。

なので、イギリス食パンや、フランスパン生地を食パンにした(パン・ド・ミーと呼ぶお店も)ような食パンのトーストが大好きです。

この「新食感宣言」は私の好みにドンピシャ!!! 
フランスパンのトーストって、耳はカリッと、中は弾力もありながら口どけも良いですよね。あの、フランスパンの中の部分だけを食べているような感じなんですよ。
あまり置いているスーパーが少ないのが残念なのです。(涙)
この食パンの魅力を満喫するなら、ちょっと強めにトーストしてフランスパンのようなザクッとした食感を楽しむこと。トースト後は、しんなりしないうちに早くいただくのもポイントです。

スイートタイプ

⑧それだけで味がする「ユアクイーン ゴールド」

最近よくあるデニッシュ食パンや何もつけず焼かずに食べられる食パンなどと同じように、砂糖やミルクや油脂分がふんだんに入った、味のついた食パンです。
ただし、各社の味つき食パンの中では薄味な方で、嫌みのない味です。

トーストして口に入れた瞬間甘く、香ばしさもありパウンドケーキのような風味。味が濃いのに、後味がとてもスッキリしているのも好印象です。

食感はかなり粘りがあり、上あごにもくっつきますが、最近はこういう食感が好まれる傾向にあります。
トースト時はかなり早く焼けるので焦がさないように注意。手持ちのマーガリンの味にもよりますが、パン生地の強い味の質は意外とバターよりもマーガリンの方が相性良さそうです。

同じ食パンでも、トーストの食感は七変化

消費者のさまざまな嗜好、特に食感の好みに合わせて色々な食パンを展開している山崎製パン。
ただしトーストの食感は、同じ食パンを使っても変わります。
食パンを買ってきてからの経過日数。焼き具合。そして、切る方向によっても変わります。

食パンには生地が伸びる方向があるため、いわゆる「目」の方向があります。
ふつう食パンは上から下に向かってナイフを入れてスライスしますが、もし横に長くナイフを滑らせ、ミルフィーユのように層状にスライスしたら……目の向きが変わるので、噛んだときの食感も変わるのです。

ね、トーストって奥が深いでしょう?

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